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ヒンディー語問題

 2009-07-26
昨年ザー副大統領が就任した際にヒンディー語で宣誓した問題だが、金曜日、最高裁からヒンディー語による宣誓は違憲だという判決が下された。これによってザー副大統領がネパール語で宣誓をし直す必要が生じているが、本人は断固反対をしている。現在、彼は支持しているマデシ政党向けに宣誓をし直すべきか、それとも辞任すべきかの意見を求めている。ヒンディー語を公用語の一つにする運動を進めているマデシ政党だが、今回の判決にはさすがに意見が割れているようだ。今後のヒンディー語公用語化に影響が及ぶ問題のため、副大統領の今後の行動には注目をしている。

ヒンディー語を公用語の一つにする運動は多くのネパール国民の意向に反するものであるが、マデシ系の政党がこの運動を進めるには三つの理由があると思う。

まず、ネパールの経済界を握るのはインド系の商人である。ヒンディー語が公用語の一つとなれば行政関係でヒンディー語が使えるようになりインド系商人にとってはメリットとなる。マデシ政党はこの層のサポートを得るために公用語運動を始めていると考えられる。(だが、インドでもヒンディー語を使う人口がかなり少ないと聞くので、この可能性を考えているならマデシ政党の無知な行動である。)

二つ目は、アイデンティティ問題である。ネパールの南部(タライ)地域は都市中心の政策で抑圧を受けてきた地域である。最近、この地域で進行中の問題は山岳地域出身の人間(パハーディ)と南部地域(マデシ)の確執である。今までの教育政策の不整備や地域的特性もあって、南部(タライ)ではなかなかネパール語が普及しにくい。そうすると、ネパール語はパハーディの言語になってしまうのである。現在のマデシ政党が訴えていることは、「南部地域での共通語はヒンディー語」は、ネパール語を話す(抑圧者)パハーディの対立軸なのである。要するに、ヒンディー語公用語運動はアイデンティティ政治の一巻としても考えられる。これはマデシ政党による支持基盤を固める動きであるが、このようなアイデンティティ政治では民族対立以外何も生まない。

最後はやはり純粋にネパールを分裂させることしか考えていない政党が進める政策として捉えられる。恐らく、二つ目と最後の考え方をもったマデシ政党がこの問題の背景にいる。

先日京都で行われたセミナーでネパールにおけるブータン難民を研究している方に出あったのだが、ネパールの政治家ほどビッジョンのない政治家はいないとおっしゃっていた。若い政治家、マオイスト政治家はそうでもないように思うのだが、なぜか政権を握った途端、目先の利益とその維持を考えてしまうような政治構造である。マデシ政党も同じ短期的視野しか持たないネパールの政党である。
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