行き先不明
2009-11-01
今日からマオイストが大規模な街頭運動を始めた。与党の統一ネパール共産党やコングレス党と合意に至らず、結局街頭運動に突入する形になった。複数の閣僚がマオイスト運動が暴力的になった場合、武力を使う可能性も示唆しているが、果たしてこの運動がどの方向へ向かうのかまったくみえない状況にある。このような危険な要素を含みつつも、マオイストの運動は政権交代のためなのか、それとも大統領問題を解決して彼らがいう「文民主権」のためなのかもみえない。リーダーによって、政権交代と主張する人もいれば、「文民主権」を訴える人もいる。
一方、与党の姿勢は、前述の通り、場合によっては武力を行使し全面的に対立していく姿勢である。しかし、与党が一丸となって、マオイストと対立していくのかというと、そうでもなくて、各政党内で亀裂が見え隠れたりする。統一ネパール共産党からはネパール首相が孤立しているような状況だし、オリ派とカナル派の対立も深刻である。一方、コングレス党でも、前コイララ首相の扱いをどうするかということを現在の中央委員会で話し合われているが、こちらも一枚岩ではない。
このような各政党がグラグラの状態でのマオイスト運動である。さらに、マデシ人権フォラム(ヤダブ派)もマデシでの街頭運動を始めることを宣伝をしており、これらの運動によって何らかの変化があることは確実である。しかし、それがどういった変化なのかがまったく予想がつかないのである。
自動進級制度導入に関する疑問
2009-10-28
ネパールの前期中等教育まであたる第7学年まで、本年度から日本のように自動進級制度が導入されたというニュースが紙面を踊った。今後は、期末試験ではなくて、定期的な評価方法(形成評価)に転換し、自動進級制度が導入されるという。試験による児童の精神的悪影響を避けることと、前期中等教育への入学率の低さ(全体の3割)を考慮した政策だという。読者コメント欄をみるとかなり好評な政策のように見えるが、個人的には公立学校での形成評価・自動進級の実践に大きな疑問を感じる。記事全文はコチラ
政策導入の背景
まず国際的な潮流から、2015人までに初等教育を万人に受けさせるという計画が進められており、その次の中等教育(また前の就学前教育)へ、視点がシフトしていることが背景にある。現在、ネパールの初等教育は、就学率が9割近くに上昇しており、その次の中等教育の3割という「数値」の低さを援助国から注目され、このような政策が導入されたのではないかと個人的に思っている。第5学年までの進級も実は、今まで実質自動進級になっていた。「万人に初等教育」(正確には「万人のための教育」)という目標を達成するために、「上」から「2・3科目に落第していても進級させて良い」という指示が出ていた。なので、よっぽどの学生しか同じ学年を繰り返すことがないのだ。今回の宣言はただ単に形式化したものを言語化しただけのことである。
「学力」はどこ!?
万人のための初等教育目標の真の狙いは、万人に良質の初等教育を提供しようというのだが、実際にはアクセスの拡大に終始しているのが現実である。
自動進級でも、初等教育段階で身につけるべき「学力」をきちんとつけていなければ、次の学年に進んでも意味がない。まして、場合によっては、重複して同じ学年で学習した方が苦手を克服し、子どものためになる。
ネパールの公立学校の教育は残念ながらかなりひどい。2000年に入ってからのいくつかの調査では初等教育の主要科目をきちんと学習し、理解している子どもは5割にも満たない。実際、縁あっていくつかの教育関係のNGO等に関わったことがあるが、初等教育の成績がかなり悪い。また、第7学年でもちゃんとネパール語で手紙を書けない子どもとたくさん出会う。
このようにそもそも質が低くて、ちゃんと子どもに学力を保証していない公立学校で試験を実施しないことは逆に質の低下に繋げる危険性をもつ。形成評価による評価は大いに、教員個人の判断によるものが大きく、従来定期的に行ってきた試験で客観的(従来の評価自体が客観的だったかどうかという疑問もあるが、それは別の話)に進捗状況を確認することができない。
要するに、ネパールのような国で、公立学校で形成評価を導入した場合臭い物に蓋をすることになる。
教師への負担
形成評価をするということは、定期的に教員が小テストか何かをつくって、それをチェックし記録していくということで必然的に教師の事務的な作業が増大する。本来、子どもの学力を考慮するために様々な工夫や勉強をするべき時間が減少することになり、子どもの学力に悪影響を及ぼすことすら考えられる。
広がる格差
ネパールにおいては、初等教育段階から公立と私立の格差が大きい。そもそも私立に行く子どもは有利なのは(財力・環境の面から)言うまでもない。そのような状況で、この政策がさらなる格差を助長する政策になりかねない。私立学校においては、この政策がちゃんと実施されるかどうかというのがまず疑問であるが、この政策の下で私立学校がきっちりと形成評価をし子どもの学力を保証していくのに対して、公立学校はそれを誤魔化し今の学力よりも悪化しかねないのである。
確かに、子どもの学力のすべてを毎年数時間の試験で計るのは不可能であり、子どもにとっては酷な話でもある。しかし、ネパールみたいな、子どもに学力をちゃんと享受できていない国で、子どもに学力が備わったかどうかということを確認するための手段として試験は重要な役割をもつ。また、公立学校の教員のモラルやモティベーションがかなり低く、果たして彼らがきちんと子どもの学力を保証するような評価方法を採用していくのかが疑問である。
ネパール料理はナンなん?
2009-10-24
学期も始まり、ドタバタする毎日。あまりブログを更新できずにいる。さて、ここ2・3日、ネパール料理店で食べる機会が多くて、毎日カレーとナン(パン)を食べている。ネパール料理は「ナン」なのかという疑問はずっと個人的にもっていたのだが、今日は日本の方に言われてさらに複雑な気持ちだ。「これではインド料理と何も変わらない」と。私の知識でも、ネパールではナンを食べる地域は存在しない。ネパールのインド料理店以外は。では、なぜ日本のネパール料理店でもインド料理店とあまり変わらないものをおいているのか。正確なことはわからないが、考えられることは二つ。まず、日本では「ネパール料理」として売っても数年前までは、ネパールのことはあまり知られていなくて(今もそうかもしれないが)インドという大国で主張した方が商売は繁盛する。味的にもネパールとインド料理では、カレー味という共通点から「日本人からみたら」一緒という感じがあるのかもしれない。もうひとつの理由は、やはりネパールの多民族性からくる共通性の無さ。ネパールは多民族国家でそれぞれ、地域・民族によって食べるものが違う。(最近はダルバートで共通するというが。)共通なネパール料理というものを展開しにくいことだろうか。日本人向けにその共通したものをアレンジしなければいけないわけだし。
本当は、インド料理よりネパール料理の方がそう濃い味付けでもないし、サラッとしてヘルシーだからもっと流行ると個人的には思う。
いずれにしろ、今はネパールのことは以前より多くの日本人に知られているわけだし、ネパール料理店も急激に増える傾向にある。このような状況で、ネパール料理店でインド料理店と同じものを提供していたらそう長続きしないと思うのは私だけだろうか。そもそも、ネパールの主食といわれるダルバート(ご飯と豆スープ)をおいてないネパール料理店は果たしてネパール料理店だろうか。
それぞれ、増えつつあるネパール料理店は、それなりの個性をだす努力はしていると思うし、すべてがインド料理店と同じものを提供しているわけでもない。しかし、多くのネパール料理店がもっとネパールというアイデンティティを強調する必要があるのも事実だ。
ネパール料理店を経営されている方々、お世話になっている方々も知りあいで多くいらっしゃるが、あえて苦言を呈して頂いた。異論・反論があればぜひコメント欄でどうぞ!
国民を無視した政治
2009-10-12
現ネパール首相の政権は、ネパール首相が二つの選挙区から落選した人物であることから、すでに国民を無視した政権である。さらに、本日元首相G.P.コイララの愛娘、スジャタ・コイララ外相が副首相に昇進され、改めてネパール国民を馬鹿にした政権であることを証明してくれた。このようなことは、果たして正常の民主主義ではあり得ることだろうか。コイララ外相も選挙では落選している人物であり、コイララ元首相の「押し」だけで副首相までに上り詰めたことになる。コングレス党内では、コイララ元首相の権威がだんだん低下している中、コイララ元首相は自分の愛娘を副首相にするようにネパール首相に促していた。今回の副首相任命はコングレス党としても容認していない事柄だが、ネパール首相はコングレス党首としてのコイララ元首相の依頼から今回の決定を下したとしている。果たしてこの説明が各党がどのように受け入れるのだろうか。特に、コイララ党首への反発が強いコングレス党では、コイララ一家の立場がさらに厳しくなることも考えられる。いずれにしろ、ネパールにおける縁故主義を見せびらかす形になり、ネパール国民は怒っている。
ネパール首相はインド外遊の際に、ネパール政権への支持を得てきたと噂されている。そこから得た過剰な自信のせいか、新憲法制定までの期間は首相であり続ける、辞任をしないことを豪語している。しかし、マオイストはティハル祭後、大きな街頭運動を始めることを宣言しており、今回のような愚行ではそのような運動をさらに悪化させることだろう。
特別警備計画の全貌
2009-10-08
ご存知の通り、現在のネパールは移行期のため、治安悪化が深刻である。この治安悪化を改善させるため、現政府が特別警備計画(ドナー国がすべて計画をしてくれたという噂もある)を先月から開始している。執行されて一ヶ月、具体的にどんな計画か明確になることはなかったが、やっと政府が全貌を発表したようだ。ネパールで一番有名なプロ・ブロガーのサイトに掲載してあったので早速引用、日本語に翻訳しているのでご参考までどうぞ。・公共機関・道路の妨害、公共財の破壊に対して関係者に1万ルピーの罰金または6ヶ月の禁固刑、あるいは両方。
・暴力行為・暴動に対して警備担当者が郡総長の命令に従い早急に様々な手段(殴棒、催涙弾、足に銃撃など)を用いて状況を沈めることができる。
・外出禁止令や暴動地域と発表された地域においては外出した者に、前者には1ヶ月の禁固刑または1000ルピーの罰金、後者に関しては3ヶ月の禁固刑と3000ルピーの罰金、あるいは両方。
・アルコール等で公共の場で暴れた場合1000ルピーまで罰金。
・一般市民に必要不可欠な交通手段、情報通信、飲料水、燃料運搬、病院、ごみ収集、銀行業や電力関係等にストライキを行えば6ヶ月の禁固刑または200ルピーまでの罰金、
・武器・爆弾物の所持の場合、その量によって6ヶ月から7年までの禁固刑または6万ルピーから14万ルピーまでの罰金、あるいは両方。武器・爆弾物所持の場合は、法廷まで身柄を確保する。
・ネパールの統一、平和、行政運営に危機的な行為をした人物を1990年の治安維持法に従い、政府が管理下におき罰することができる。
引用元:Mysansar.com
ここには記載されていないが、交通事故の際に政府が被害者に一旦被害額を支払う保険制度もかなり成功しているようだ。しかし、すでに引用元のブログでも多数のコメントで示されているように、多くの人がこのような計画の実践に懐疑的である。ストライキ等を行うのは、主な政党の関係者がほとんどで、法をつくる側がそれを無視している状況で、はこのような計画が成功することは不可能である。もっと根本的なところで、各政党がこのような暴力的なデモ・ストライキを行わないことに合意しなければいけないのだが、現在のような政権さえ運営できていない体制でそのようなことを各政党に期待できない。








